動物取扱業とは?営業の種別と第一種・第二種の違い

ペット関連のビジネスを始めようとするとき、動物取扱業の登録や届出が必要かどうか、必要だとしてどの種別に当てはまるのか、分かりにくいと感じる方は少なくありません。
動物取扱業は、営利性の有無や取り扱う頭数によって、登録が必要な第一種動物取扱業と、届出で足りる第二種動物取扱業に分かれます。
そのうち、第一種動物取扱業販売・保管・貸出し・訓練・展示・競りあっせん・譲受飼養という7つの種別があり、第二種動物取扱業には、譲渡し・保管・貸出し・訓練・展示という5つの種別があります。
この記事では、動物取扱業の全体像を整理し、ご自身の事業がどの種別・区分に当てはまるかを確認できるように解説します。

この記事を読んでわかること

  • 動物取扱業とは何か、対象となる「動物」の範囲
  • 第一種動物取扱業の7種別それぞれの内容と業種例
  • 第一種(登録)と第二種(届出)の違い
  • 動物取扱責任者の設置義務、登録・届出の手続の概要

目次

動物取扱業とは

動物取扱業は、第一種動物取扱業と第二種動物取扱業に大別されます。
第一種動物取扱業は営利を前提とした登録制であり、第二種動物取扱業は非営利を前提とした届出制というところに、大きな違いがあります。
そのうち、第一種動物取扱業は、動物の販売保管貸出し訓練展示競りあっせん譲受飼養を業として行うことをいいます。
根拠となるのは、動物の愛護及び管理に関する法律(以下「動物愛護管理法」)第10条第1項です。

動物愛護管理法
第10条第1項(抜粋)
動物(哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するものに限り、畜産農業に係るもの及び試験研究用又は生物学的製剤の製造の用その他政令で定める用途に供するために飼養し、又は保管しているものを除く。)の取扱業(動物の販売(その取次ぎ又は代理を含む。)、保管、貸出し、訓練、展示(動物との触れ合いの機会の提供を含む。)その他政令で定める取扱いを業として行うことをいう。)を営もうとする者は、当該業を営もうとする事業所の所在地を管轄する都道府県知事(地方自治法の指定都市にあっては、その長)の登録を受けなければならない。

ここで対象となる「動物」は哺乳類・鳥類・爬虫類に限られ、魚類や昆虫類は対象外です。
また、畜産農業として飼養される家畜や、試験研究用に飼養される動物なども、動物愛護管理法上の「動物取扱業」の対象から除かれています。


第一種動物取扱業の7種別

第一種動物取扱業は、業務内容に応じて7つの種別に分かれます。
販売・保管・貸出し・訓練・展示の5つは動物愛護管理法第10条第1項に直接規定されており、競りあっせん・譲受飼養の2つは、同項が委任する動物愛護法施行令第1条で追加されています。

それぞれの内容と代表的な業種例をまとめると、次のとおりです。

種別内容業種例
販売小売・卸売、販売目的の繁殖/輸出入(取次ぎ・代理を含む)ペットショップ、ブリーダー
保管顧客の動物を預かるペットホテル、ペットシッター、動物を預かるトリミング業者
貸出し愛玩・撮影・繁殖等の目的で貸し出すペットレンタル、タレント動物派遣
訓練顧客の動物を預かり訓練する訓練・調教業者、出張訓練
展示動物を見せる、ふれあいの機会を提供する動物園、ふれあいパーク、乗馬施設、猫カフェ
競りあっせん会場を設けた競りによる動物売買のあっせん動物オークション
譲受飼養譲り渡した者が飼養費用を負担する形で動物を譲り受けて飼養する老犬・老猫ホーム

販売

「販売」は、動物の小売・卸売や、販売目的での繁殖・輸出入(取次ぎ・代理を含みます)を指します。
ペットショップやブリーダーが代表例です。
自社で直接販売しない場合でも、販売目的の繁殖であれば「販売」に含まれます。
「取次ぎ又は代理を含む」こととされているため、自らが動物の所有権を持たずに、売買の仲介だけを行う場合も「販売」に含まれる点に注意が必要です。

保管

「保管」は、顧客から動物を預かり、一時的に飼養・管理することを指します。
ペットホテルやペットシッターのほか、動物を預かって施術を行うトリミング業者も、預かりを伴う限り「保管」に該当します。
預かるだけでなく調教や訓練もあわせて行う場合は、後述する「訓練」にも該当する可能性があります。
行う業務の内容に応じて、複数の種別で登録が必要になることもあります。

なお、ドッグランについては、飼主が付き添って自由に利用する形態のものであれば、一般的には第一種動物取扱業の登録は不要となります。

貸出し

「貸出し」は、愛玩・撮影・繁殖等の目的で動物を貸し出すことを指します。
ペットレンタル業のほか、撮影・イベントへのタレント動物の派遣が代表例です。
繁殖(交配)の目的で動物を貸し出す場合も対象に含まれます。

訓練

「訓練」は、顧客から動物を預かり、訓練・調教を行うことを指します。
ドッグトレーナーなど訓練・調教業者のほか、出張形式で訓練を行う場合も対象になります。
犬の幼稚園のように、預かりと訓練をあわせて行う業態も、業務の実態に応じて「訓練」に該当する場合があります。

展示

「展示」は、動物を見せること、動物とのふれあいの機会を提供することを指します。
動物園や水族館、ふれあいパーク、乗馬施設、猫カフェなどが代表例です。

競りあっせん

「競りあっせん」は、動物の売買をしようとする者同士のあっせんを、会場を設けて競りの方法により行うことを指します(動物愛護法施行令第1条第1号)。
動物オークションの運営がこれに当たります。
第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令では、競りあっせん業者に対し、実施する競りに参加する事業者が第一種動物取扱業の登録を受けていることを確認する義務も課されています。

譲受飼養

「譲受飼養」は、動物を譲り受けてその飼養を行うことのうち、その動物を譲り渡した者が飼養に要する費用の全部又は一部を負担する場合を指します(動物愛護法施行令第1条第2号)。
もう少しかみ砕くと、単に動物を無償で引き取って飼養するだけでは「譲受飼養」には当たらず、引き取ってもらう側(元の飼い主)が飼養費用を負担していることが条件になります。
高齢の犬猫等を有償で引き取り終生飼養する老犬・老猫ホームが代表例です。
反対に、飼い主から飼養費用を受け取らずに保護動物を無償で引き取るような場合は、この「譲受飼養」には該当しません。
この場合の取扱いは、後述する第二種動物取扱業の枠組みで検討することになります。


第一種動物取扱業に該当するかの判断基準

ここまで見た7種別のいずれかに当てはまる動物の取扱いを行う場合でも、動物愛護管理法上の第一種動物取扱業に該当するのは、営利目的で業として行う場合に限られます。

「営利目的」とは、一般的には有償・無償とは区別され、営利性と言い換えることがあります。
たとえば、ある事業者が運営する施設の一角に無償の動物ふれあいコーナーがあるような場合を考えます。
このような場合、一見すると動物の触れ合いについては無償なので、営利目的ではないように見えます。
しかし、動物ふれあいコーナーがあることによって、結果としてその施設全体の収益が上がるような場合には、営利目的があると判断されることがあります。
無償でも営利目的がある場合には、第一種動物取扱業の登録が必要となります。

「業として」とは、一般的には営利性の有無反復継続性を総合的に考慮して判断されるものと解されています。
営利性と同じく、一般的には有償・無償とは区別されて判断されます。
たとえば、友人・知人から頼まれて一時的にペットを預かる程度であれば、通常は「業として」には当たらないと考えられます。
一方で、反復・継続的に動物を預かる場合や、副業・非営利活動であっても一定の規模・頻度で行われる場合は、「業として」に該当する可能性が高いと考えられます。

もっとも、個別の事案についての「営利目的」や「業として」に該当するかどうかの最終的な判断は、事業の規模・頻度など個別の事情によって分かれるため、この記事で一律に線引きすることはできません。
判断に迷う場合は、事業を開始する前に管轄行政庁へご確認いただくことをお勧めします。

実務上、動物愛護団体としての保護活動など非営利の色彩が強い場合には、動物取扱業(第一種)ではなく、後述する第二種動物取扱業の枠組みで検討することになります。
「営利目的」や「業として」に当たるかどうかによって、第一種と第二種のどちらの枠組みで考えるべきかが変わってくるため、この判断は制度全体の入り口として重要な位置づけになります。

なお、登録が必要であるにもかかわらず無登録で第一種動物取扱業を営んだ場合、100万円以下の罰金の対象になります(動物愛護管理法第46条第1号)。


第二種動物取扱業とは

第二種動物取扱業は、非営利で動物の取扱いを行う場合の届出制度です。
根拠は動物愛護管理法第24条の2の2です。
第一種との最大の違いは、営利性の有無にあります。

「営利」「非営利」という語は、動物愛護管理法の条文そのものには登場しません。
これは、第一種・第二種の違いを説明する際に環境省が用いている整理です。

第二種動物取扱業の種別

第二種動物取扱業の種別は、譲渡し・保管・貸出し・訓練・展示の5区分です(動物愛護管理法第24条の2の2第3号)。

動物愛護管理法
第24条の2の2(抜粋)
飼養施設(環境省令で定めるものに限る。)を設置して動物の取扱業(動物の譲渡し、保管、貸出し、訓練、展示その他第十条第一項の政令で定める取扱いに類する取扱いとして環境省令で定めるもの(その他の取扱い)を業として行うことをいう。)を行おうとする者(第十条第一項の登録を受けるべき者及びその取り扱おうとする動物の数が環境省令で定める数に満たない者を除く。)は、都道府県知事に届け出なければならない。

条文では、「譲渡し・保管・貸出し・訓練・展示」の5区分に加えて、「その他の取扱い」という区分を環境省令に委任する形で定めています。
条文上は6区分目が存在しうる形になっているものの、この委任を受けた環境省令は、本記事執筆時点で定められていません。
そのため、実務上の対象は列挙された5区分にとどまります。
条文の文言だけを見て「その他の取扱いも対象になる」と読むと実態と異なりますので、注意が必要です。

区分内容
譲渡し動物を譲り渡す
保管動物を預かる
貸出し動物を貸し出す
訓練動物を訓練する
展示動物を見せる、ふれあいの機会を提供する

第一種動物取扱業の7種別との対応関係については、次の章の比較表であわせて整理します。

第二種動物取扱業の要件

第二種動物取扱業の届出が必要になるのは、次の要件をいずれも満たす場合です。

  • 非営利業として動物の取扱いを行うこと
  • 飼養施設を設置していること(動物愛護管理法第24条の2の2、施行規則第10条の5第1項)
  • 取り扱う動物の数が、環境省令で定める数以上であること(施行規則第10条の5第2項)

③の頭数基準は、動物の大きさの区分ごとに次のとおり定められています。

区分頭数根拠
大型動物+特定動物の合計3以上施行規則第10条の5第2項第1号
中型動物の合計10以上同項第2号
大型・中型以外(小型)の合計50以上同項第3号
大型動物+中型動物の合計10以上同項第4号
全体の合計50以上同項第5号

この頭数の数値そのものは、施行規則に定められた法令上の基準です。
一方、「大型動物」「中型動物」という区分は、施行規則上、牛・馬・豚・ダチョウ又はこれらと同等以上の大きさを有する哺乳類・鳥類を「大型動物」、犬・猫又はこれらと同等以上の大きさを有する哺乳類・鳥類・爬虫類(大型動物を除く)を「中型動物」とする形で定義されています(施行規則第10条の5第2項第1号・第2号)。
代表例となる動物の種類を挙げたうえで「これらと同等以上の大きさ」という基準で判定する仕組みになっており、代表例に挙がっていない動物について具体的に何cm以上であれば「同等以上」といえるかという数値の目安(頭胴長でおおむね1m以上/50cm〜1m/50cm以下など)は、施行規則そのものには定められていません。
この具体的な数値の目安は、環境省が例示として示しているものです。
頭数基準を確認する際は、頭数そのものは法令上の基準、大きさの具体的な数値目安は環境省の例示、という違いを区別して理解する必要があります。

なお、国・地方公共団体の職員が業務として行う場合など、一定の場合には第二種動物取扱業の届出が不要となる適用除外もあります(施行規則第10条の5第3項)。


第一種と第二種の違い(比較表)

第一種動物取扱業と第二種動物取扱業の違いを整理すると、次のとおりです。

区分手続営利性単位種別根拠条文
第一種登録営利種別・事業所ごと7種別(販売・保管・貸出し・訓練・展示・競りあっせん・譲受飼養)法第10条第1項
第二種届出非営利種別・飼養施設を設置する場所ごと5区分(譲渡し・保管・貸出し・訓練・展示)法第24条の2の2

種別を比べると、第一種にある「販売」「競りあっせん」「譲受飼養」に対応する区分は第二種にありません。
反対に、第二種には第一種にない「譲渡し」があります。
特に、第一種の「譲受飼養」(有償で動物を譲り受けて飼養する)に相当する行為を非営利で行う場合にどの区分に当てはまるのか、たとえば非営利の老犬・老猫ホームを運営する場合の扱いは、個別の検討を要する論点です。


動物取扱責任者の設置義務(概要)

第一種動物取扱業者は、事業所ごとに、業務を適正に実施するために十分な技術的能力及び専門的な知識経験を有する者のうちから、動物取扱責任者を選任しなければなりません(動物愛護管理法第22条第1項)。

動物取扱責任者になるためには、獣医師や愛玩動物看護師の資格を持つか、一定の実務経験と教育機関の卒業・客観的な試験の合格を組み合わせて満たす必要があります(施行規則第9条)。
あわせて、動物愛護管理法第12条第1項が定める事由に該当しないことも求められ、選任後は定期的に動物取扱責任者研修を受けさせる義務もあります。

動物取扱責任者の設置は、事業所において動物の適正な取扱いを技術的・専門的に担保するための仕組みです。
そのため、要件を満たす人材を確保できない場合は、そもそも第一種動物取扱業の登録を受けることができません。
事業計画の初期段階から、誰が動物取扱責任者になるのかを検討しておく必要があります。


登録・届出の手続の流れ(概要)

第一種動物取扱業の登録を受けるには、氏名・事業所の名称及び所在地・動物取扱責任者の氏名・営もうとする種別と業務の内容及び実施方法・主として取り扱う動物の種類及び数・飼養施設に関する事項などを記載した申請書に、環境省令で定める書類を添えて、都道府県知事に提出します(動物愛護管理法第10条第2項)。
第二種動物取扱業の場合は、同様の事項を記載した届出書を提出します(動物愛護管理法第24条の2の2)。
第一種動物取扱業、第二種動物取扱業のいずれの場合であっても、事業を行う種別ごとに申請・届出をする必要があります。

第一種の登録は、申請すれば必ず受けられるわけではありません。
都道府県知事は、次の5つのいずれかに該当する場合、登録を拒否しなければならないとされています(動物愛護管理法第12条第1項)。

  • 申請者本人や法人の役員・使用人等が、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者など、法が定める一定の事由に該当するとき
  • 業務内容・実施方法が環境省令で定める基準に適合しないとき
  • 飼養施設の構造・規模・管理が環境省令で定める基準に適合しないとき
  • 犬猫等健康安全計画が環境省令で定める基準に適合しないとき
  • 申請書・添付書類に重要事項の虚偽記載又は記載の欠落があるとき

このうち①(動物愛護管理法第12条第1項各号が定める事由)のことを、実務上「欠格事由」と呼んでいます。


登録後に必要な手続(概要)

動物取扱業は、登録を受けたら終わりというものではありません。
第一種動物取扱業の登録を受けた後も、事業を続ける限り一定の義務が継続的に発生します。
主なものは次のとおりです。

  • 登録の更新(有効期間は5年)
  • 変更届(種別・業務内容・実施方法の変更、飼養施設の新設など。届出のタイミングは事前・事後の2パターンに分かれます)
  • 動物取扱責任者研修の定期受講
  • 動物に関する帳簿の作成・保存(対象は販売・貸出し・展示・譲受飼養)
  • 定期報告の届出
  • 標識の掲示・識別章の着用
  • 廃業等の届出

これらは、登録の申請時には意識しにくいものの、事業を継続する限り繰り返し発生する義務です。
特に更新や変更届は、失念すると登録の失効につながることもあります。
なお、種別・区分の該当性の取扱いは、管轄行政庁の運用や個別具体的なご事情によって異なる場合があります。 最終的な判断にあたっては、管轄行政庁または当事務所にご相談くださいませ。

動物取扱業の種別チェックまとめ

  • 動物取扱業には第一種(登録制・7種別)と第二種(届出制・5区分)がある
  • 第一種の7種別は販売・保管・貸出し・訓練・展示・競りあっせん・譲受飼養
  • 第二種は非営利・飼養施設・頭数基準の3要件をいずれも満たす場合に届出が必要
  • 該当性の判断に迷う場合は、事業開始前に管轄行政庁への確認がおすすめ

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※本記事は2026年8月時点の情報に基づいて執筆しています。
法令や行政庁の運用は改正される場合がありますので、最新の情報については管轄行政庁にご確認ください。

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