動物取扱業の登録申請をしようとするとき、「自分は本当に登録を受けられるのか」という点が気になる事業者の方は少なくありません。
動物愛護管理法には、登録を拒否する事由が定められており、申請者本人だけでなく、法人の役員や事業所の業務を統括する使用人も対象になります。
この記事では、そのうち一般的に「欠格事由」と呼ばれるものを一覧にまとめ、申請前のセルフチェックとして利用できる形で解説します。
- 動物取扱業の登録拒否事由と、そのうち「欠格事由」と呼ばれる部分の関係
- 動物愛護管理法第12条第1項が定める11の欠格事由の一覧
- 5年の期間制限がある事由の起算点の考え方
動物取扱業の登録拒否事由とは
動物取扱業(第一種動物取扱業)の登録は、申請すれば必ず受けられるわけではありません。
動物取扱業の種別や登録の基本的な仕組みについては、別記事「動物取扱業とは?営業の種別と第一種・第二種の違い」で解説していますので、併せてご確認ください。
動物の愛護及び管理に関する法律(以下「動物愛護管理法」)第12条第1項では、都道府県知事が登録を拒否しなければならない場合として、次の5つを定めています。
- 申請者等が各号のいずれかに該当するとき
- 業務内容・実施方法が環境省令で定める基準に適合しないとき
- 飼養施設の構造・規模・管理が環境省令で定める基準に適合しないとき
- 犬猫等健康安全計画が環境省令で定める基準に適合しないとき
- 申請書・添付書類に重要事項の虚偽記載又は記載の欠落があるとき
このうち①のことを、一般的に「欠格事由」と呼んでいます。
この記事では、登録拒否事由のうち、欠格事由に絞って解説します。
欠格事由は「申請者がこういう状態にある場合は、そもそも登録を認めない」という入口のルールです。
これに対して、登録を受けた後に一定の事由が生じた場合に登録を取り消す規定(法第19条第1項)もあります。
登録取消の対象となる事由は欠格事由とほぼ重なりますが、「申請の入口で拒否する」欠格事由と、「登録後に取り消す」取消事由とでは、タイミングが異なります。
欠格事由の判定対象は、申請者本人に限られません。
法人の場合は役員、個人・法人を問わず事業所の業務を統括する使用人(環境省令で定める使用人)も対象になります(法第12条第1項第8号・第9号、施行規則第3条第6項)。
動物愛護管理法第12条第1項では、全部で11の欠格事由を定めています。
欠格事由一覧(法第12条第1項第1号〜第9号)
それでは、法第12条第1項が定める11の欠格事由を、条文の順番に沿って一覧表にまとめます。
| 号 | 事由の要旨 | 期間・起算点 | 環境省令の定め |
|---|---|---|---|
| 第1号 | 心身の故障により業務を適正に行うことができない者 | 期間の定めなし(該当しなくなるまで) | 施行規則第3条第4項 |
| 第2号 | 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者 | 期間の定めなし(復権を得るまで) | — |
| 第3号 | 登録を取り消され、その処分があった日から5年を経過しない者 | 5年(起算点:処分があった日) | — |
| 第4号 | 法人が登録を取り消された場合の、処分前30日以内の役員であった者 | 5年(起算点:処分があった日) | — |
| 第5号 | 業務停止を命ぜられ、その停止期間が経過しない者 | 業務停止命令で定めた停止期間(最長6か月) | — |
| 第5号の2 | 拘禁刑以上の刑に処せられ、執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 | 5年(起算点:刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日) | — |
| 第6号 | 動物関係法令等の違反で罰金以上の刑に処せられ、執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 | 5年(起算点:刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日) | — |
| 第7号 | 暴力団員、又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者 | 5年(起算点:暴力団員でなくなった日) | — |
| 第7号の2 | 登録取消しの処分の通知を受けてから処分又は不処分決定までの間に、廃業・解散の届出をした者等 | 5年(起算点:届出の日) | 施行規則第3条第5項 |
| 第8号 | 法人であって、役員又は使用人のうちに前各号該当者がいる場合 | 該当者の状況に連動 | 施行規則第3条第6項(使用人の定義) |
| 第9号 | 個人であって、使用人のうちに第1号〜第7号の2の該当者がいる場合 | 該当者の状況に連動 | 施行規則第3条第6項(使用人の定義) |
第1号については、環境省令で「精神の機能の障害によりその業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」として具体化されています。
以前は、成年被後見人又は被保佐人である場合は一律で登録拒否事由に該当するとされていましたが、法改正により現在の内容になりました。
当該規定に該当するかどうかは、ご本人の状態に応じた個別判断となります。
ご自身の状況がこれらに該当するかご不安な場合は、あらかじめ管轄行政庁にご確認いただくことをお勧めします。
第6号の対象法令(動物関係法令の罰金刑)
第6号は、動物愛護管理法自体の違反だけでなく、動物に関係する他の法令への違反も対象にしています。
罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない場合が該当します。
対象となる法令と条文は次のとおりです。
- 動物愛護管理法自体の規定
- 化製場等に関する法律第10条第2号(同法第9条第5項において準用する同法第7条に係る部分に限る)・第3号
- 外国為替及び外国貿易法第69条の8第1項第4号・第5号、第70条第1項第36号、第72条第1項第3号・第5号(いずれも動物に係るものに限る)
- 狂犬病予防法第27条第1号・第2号
- 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律
- 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律
- 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律
このうち、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の3法については、条番号を限定せず法律の規定全体が対象とされています。
なお、動物取扱責任者についても、この欠格事由に該当しないことが求められます(施行規則第9条)。
動物取扱責任者になることができる人の条件は、別記事で解説しています。
5年の起算点の考え方
欠格事由のうち、「5年を経過しない」という期間制限を持つのは、第3号・第4号・第5号の2・第6号・第7号・第7号の2の6つです。
このうち第3号・第4号は登録取消しの処分があった日、第5号の2・第6号は罰金以上の刑(第5号の2は拘禁刑以上の刑)の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日、第7号は暴力団員でなくなった日を、それぞれ起算点としています。
いずれも、行政庁の処分や刑の確定など、本人の意思とは別に生じる法的な効果の発生日を起点とする点が共通しています。
これに対して第7号の2だけは、起算点の性質が異なります。
第7号の2の起算点は、法第16条第1項第4号又は第5号の届出をした日です。
これは登録取消処分の通知を受けてから、実際に処分(又は処分をしないことの決定)がされるまでの間に、廃業や解散の届出をして処分そのものを免れようとする行為を防ぐための規定です。
そのため起算点も、処分や刑の確定ではなく、本人が行った届出という行為そのものに置かれています。
処分の確定を待たずに5年の制限がかかる点に注意が必要です。
第5号(業務停止)は5年の期間制限ではなく、業務停止命令で定めた停止期間(最長6か月)が経過するまでが対象です。
第1号・第2号は期間の定めがなく、該当しなくなるまで欠格事由に当たります。
まとめ
動物取扱業の登録拒否事由のうち、一般的に「欠格事由」と呼ばれるものについて解説しました。
判定の対象は申請者本人に限られず、法人の役員や事業所の業務を統括する使用人にも及びます。
登録に必要な書類(誓約書等)を準備する際は、この点も踏まえてご確認ください。
登録の必要書類については、別記事で一覧にしています。
登録後に一定の事由が生じた場合の登録取消し(法第19条第1項)は、本記事で扱った欠格事由と対象がほぼ重なりますが、別の条文に基づく制度です。
取消事由の詳細は、動物取扱業の罰則・行政処分一覧の記事で解説しています。
ご自身やご担当者、法人の役員の方が欠格事由に該当するかどうかの判断に迷う場合は、無理に自己判断をせず、管轄行政庁等にご相談ください。
動物取扱業の欠格事由チェックまとめ
- 欠格事由は法第12条第1項各号が定める11事由。登録拒否事由5つのうちの①にあたる
- 判定対象は申請者本人だけでなく、法人の役員・事業所の業務統括者にも及ぶ
- 5年の期間制限がある事由は6つ。第7号の2だけは起算点が「届出の日」で他と性質が異なる
- 第1号の個別事案への当てはめは行政庁の判断による。判断に迷う場合は事前確認を
行政書士TLA観光法務では、動物取扱業についての行政庁への照会・事前相談への同行から、複数自治体にまたがる運用差の調査、登録申請書類の作成代理まで対応しております。
気になる点がございましたら、下記お問い合わせフォームよりお気軽にご相談くださいませ。
あなたからのご連絡をお待ちしております。
※本記事は2026年8月時点の情報に基づいて執筆しています。
法令や行政庁の運用は改正される場合がありますので、最新の情報については管轄行政庁までご確認ください。