動物取扱責任者の条件|資格・実務経験を整理

第一種動物取扱業の登録を検討している事業者の方から、「自分は動物取扱責任者になれるのか」というご相談をいただくことがあります。
事業所ごとに1名以上の動物取扱責任者を選任できなければ、第一種動物取扱業の登録を受けることができません。
この記事では、動物取扱責任者になるための要件などの全体像を整理します。

この記事を読んでわかること

  • 動物取扱責任者になるための4つのルート(イ〜ニ)
  • 実務経験・保有資格で要件を満たせるかの確認ポイント
  • 要件を満たすこと以外に必要な義務(欠格事由への非該当、研修の受講)

目次

動物取扱責任者とは|選任義務と人数

動物取扱業の登録全体の仕組みについては、別記事「動物取扱業とは?営業の種別と第一種・第二種の違い」で解説していますので、あわせてご確認ください。
第一種動物取扱業の登録を受けるには、動物の愛護及び管理に関する法律(以下「動物愛護管理法」)第22条第1項により、事業所ごとに動物取扱責任者を選任することが義務付けられています。

動物愛護管理法
第22条第1項
第一種動物取扱業者は、事業所ごとに、環境省令で定めるところにより、当該事業所に係る業務を適正に実施するため、十分な技術的能力及び専門的な知識経験を有する者のうちから、動物取扱責任者を選任しなければならない。

さらに、動物愛護管理法施行規則(以下「施行規則」)第3条第1項第4号により、動物取扱責任者は常勤の職員のうちから、当該事業所に専属として1名以上配置する必要があります。


動物取扱責任者になることができる人の要件

動物取扱責任者になるための具体的な要件は、施行規則第9条第1号に定められています。

動物愛護管理法施行規則
第9条(動物取扱責任者の選任)
法第二十二条第一項の動物取扱責任者は、次の要件を満たす職員のうちから選任するものとする。
一 次に掲げる要件のいずれかに該当すること。
 イ 獣医師法(昭和二十四年法律第百八十六号)第三条の免許を取得している者であること。
 ロ 愛玩動物看護師法(令和元年法律第五十号)第三条の免許を取得している者であること。
 ハ 営もうとする第一種動物取扱業の種別ごとに別表下欄に定める種別に係る半年間以上の実務経験(常勤の職員として在職するものに限る。)又は取り扱おうとする動物の種類ごとに実務経験と同等と認められる一年間以上の飼養に従事した経験があり、かつ、営もうとする第一種動物取扱業の種別に係る知識及び技術について一年間以上教育する学校その他の教育機関を卒業していること(学校教育法による専門職大学であって、当該知識及び技術について一年以上教育するものの前期課程を修了していることを含む。)。
 ニ 営もうとする第一種動物取扱業の種別ごとに別表下欄に定める種別に係る半年間以上の実務経験(常勤の職員として在職するものに限る。)又は取り扱おうとする動物の種類ごとに実務経験と同等と認められる一年間以上の飼養に従事した経験があり、かつ、公平性及び専門性を持った団体が行う客観的な試験によって、営もうとする第一種動物取扱業の種別に係る知識及び技術を習得していることの証明を得ていること。
二 事業所の動物取扱責任者以外のすべての職員に対し、動物取扱責任者研修において得た知識及び技術に関する指導を行う能力を有すること。

第1号イからニまでの要件は、いずれか1つを満たしていれば足り、すべてを満たす必要はありません。
それぞれの要件を簡潔にまとめたものを表にしております。

区分必要な免許・経験・学歴等
獣医師の免許
愛玩動物看護師の免許
実務経験等+教育機関の卒業
実務経験等+資格試験の合格

イ.獣医師の免許を持っている場合

獣医師法第3条の免許を取得している場合は、この要件だけで動物取扱責任者になることができます。
実務経験や教育機関卒業の有無は問われません。
動物の診療を担う専門資格である獣医師の免許があれば、動物の適正な取扱いに必要な知識・技術を備えているとみなされるためです。

ロ.愛玩動物看護師の免許を持っている場合

愛玩動物看護師法第3条の免許を取得している場合も、イと同様にこの要件だけで動物取扱責任者になることができます。
愛玩動物看護師は、獣医師の指示のもとで動物の看護等を行う国家資格です。

ハ.実務経験+教育機関卒業の場合

動物愛護管理法施行規則
第9条第1号ハ
営もうとする第一種動物取扱業の種別ごとに別表下欄に定める種別に係る半年間以上の実務経験(常勤の職員として在職するものに限る。)又は取り扱おうとする動物の種類ごとに実務経験と同等と認められる一年間以上の飼養に従事した経験があり、かつ、営もうとする第一種動物取扱業の種別に係る知識及び技術について一年間以上教育する学校その他の教育機関を卒業していること(学校教育法による専門職大学であって、当該知識及び技術について一年以上教育するものの前期課程を修了していることを含む。)。

これは、具体的には次の①・②の両方を満たす場合が当てはまります。

  • 半年以上の実務経験(常勤の職員として在職)、又は実務経験と同等と認められる1年以上の飼養に従事した経験
  • 営もうとする種別に係る知識・技術を1年以上教育する教育機関の卒業

①の実務経験は、営もうとする種別と関連する種別での経験である必要があり、どの種別の経験が認められるかは施行規則の別表に定めがあります。
一方、「実務経験と同等と認められる1年以上の飼養に従事した経験」に何が当たるかについては、法令に具体的な基準は定められていません。
②の教育機関についても、どの学校がどの種別について認められるかは、法令に明示されているわけではありません。

ニ.実務経験+資格試験合格の場合

動物愛護管理法施行規則
第9条第1号ニ
営もうとする第一種動物取扱業の種別ごとに別表下欄に定める種別に係る半年間以上の実務経験(常勤の職員として在職するものに限る。)又は取り扱おうとする動物の種類ごとに実務経験と同等と認められる一年間以上の飼養に従事した経験があり、かつ、公平性及び専門性を持った団体が行う客観的な試験によって、営もうとする第一種動物取扱業の種別に係る知識及び技術を習得していることの証明を得ていること。

この規定では、具体的には次の①・②の両方を満たす場合が当てはまります。

  • 半年以上の実務経験(常勤の職員として在職)、又は実務経験と同等と認められる1年以上の飼養に従事した経験
  • 公平性・専門性のある団体が行う試験によって、営もうとする種別に係る知識・技術の習得を証明すること

①の実務経験等の要件は、ハと共通です。
異なるのは②で、教育機関の卒業ではなく、公平性及び専門性を持った団体が行う客観的な試験によって知識・技術の習得を証明することが求められます。

これは、一定の民間資格の試験に合格していることを指します。
たとえば、愛玩動物飼養管理士(公益社団法人日本愛玩動物協会)や家庭動物管理士(公益社団法人日本ペット協会)は、東京都においてこの要件を満たす資格として認められています。
これらはあくまで一例であり、このほかにも複数の資格が認められています。
どの資格が認められるかは行政機関によって異なるため、資格の一覧については別記事で解説する予定です。


行政庁により運用が異なる基準

ハ・ニの要件には、施行規則自体に具体的な基準が定められていない部分が3つあります。

実務経験と同等と認められる飼養経験の認定
卒業した教育機関がどの種別に係る知識及び技術として認められるか
どの資格・試験がどの種別に係る知識及び技術として認められるか

施行規則第9条第1号は、これら3点の判断基準を具体的に定めていません。
そのため、実務上は、登録事務を取り扱う都道府県知事(政令指定都市の長)の運用に委ねられています。
各自治体が事前に基準を公開していたり、個別の確認を促す案内を出していたりするので、それぞれの状況に応じて事前に管轄行政庁に確認することが推奨されます。


事業所の他の職員に指導できること

第1号イ〜ニのいずれかを満たしていても、それだけでは足りません。
施行規則第9条第2号により、動物取扱責任者には、事業所の動物取扱責任者以外のすべての職員に対し、動物取扱責任者研修で得た知識・技術に関する指導を行う能力があることも求められます。

イ〜ニの要件に気を取られると見落としやすい要件ですので、あわせてご確認ください。


欠格事由に該当しないこと

動物取扱責任者は、動物愛護管理法第22条第2項により、同法第12条第1項第1号から第7号の2までに掲げる事由(一般的に「欠格事由」と呼ばれるもの)に該当しない者でなければなりません。
欠格事由の内容は、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者や、一定の刑に処せられてから5年を経過しない者など多岐にわたります。


選任後は動物取扱責任者研修の受講義務

動物愛護管理法第22条第3項により、第一種動物取扱業者は、選任した動物取扱責任者に、都道府県知事が実施する動物取扱責任者研修を受けさせなければなりません。
受講の頻度については、かつて国の基準で「1年に1回以上」と義務付けられていましたが、この一律の義務付けは廃止され、現在は自治体の運用に委ねられています。

研修は、施行規則により以下の事項に関するものと定められています。

  • 動物の愛護及び管理に関する法令(条例を含む。)
  • 飼養施設の管理に関する方法
  • 動物の管理に関する方法
  • ①~③のほか、第一種動物取扱業の業務の実施に関し都道府県知事が地域の実情に応じて必要と認める事項

まとめ

この記事では、第一種動物取扱業における動物取扱責任者に関する全体像を解説しました。

動物取扱責任者になるためには、獣医師・愛玩動物看護師の免許があれば単独で足りますが、それ以外の場合は、実務経験等と教育機関卒業・資格試験合格のいずれかを組み合わせる必要があります。
加えて、他の職員への指導能力、欠格事由への非該当、選任後の研修受講義務も忘れてはいけません。

動物取扱責任者になるための要件まとめ

  • 獣医師・愛玩動物看護師の免許があれば、それだけで要件を満たす
  • それ以外は、実務経験等+教育機関卒業、または実務経験等+資格試験合格のいずれかが必要
  • 他の職員への指導能力、欠格事由への非該当も別途必要な要件
  • 選任後は動物取扱責任者研修を受けさせる義務がある
  • 実務経験の同等認定、認められる教育機関・資格の判断は自治体運用による

動物取扱責任者の要件でお困りのことはございませんか?

「自分の実務経験や資格で動物取扱責任者になれるか分からない」「教育機関の卒業歴が認められるか判断がつかない」というご相談をいただくことがあります。
動物取扱責任者の要件のうち、実務経験の同等認定や教育機関・資格の認定は、管轄行政庁の運用によって判断が分かれる場面があります。

行政書士TLA観光法務では、管轄行政庁への照会、事前相談への同行・代理、複数自治体の運用差の調査、登録申請書類の作成・提出代理まで対応しております。
判断に迷われた段階でのご相談も歓迎しておりますので、下記お問い合わせフォームよりお気軽にご相談くださいませ。
あなたからのご連絡をお待ちしております。

動物取扱責任者の登録に関するご相談料金

対応内容報酬額(税込)備考
動物取扱業の登録に関する相談初回無料初回30分まで

なお、動物取扱責任者の要件該当性の取扱いは、管轄行政庁の運用や個別具体的なご事情によって異なる場合があります。
最終的な判断にあたっては、管轄行政庁にご相談くださいませ。

※本記事は2026年8月時点の情報に基づいて執筆しています。
法令や行政庁の運用は改正される場合がありますので、最新の情報については管轄行政庁にご確認ください。

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