第二種動物取扱業の届出が必要なケース

非営利で動物の保護活動や譲渡会を行っている方、あるいはこれから始めようとしている方から、「これは動物取扱業の届出が必要になるのか」というご相談をいただくことがあります。
動物取扱業には、営利を前提に登録が必要な第一種動物取扱業のほかに、非営利での取扱いを対象とする第二種動物取扱業という届出制度があります。
この記事では、第二種動物取扱業の届出が必要になるかどうかの判断基準を中心に、頭数基準への当てはめ方や、譲り受けた動物をどの区分で検討すべきかについて解説します。

この記事を読んでわかること

  • 第二種動物取扱業の届出が必要になる4つの要件
  • 頭数基準への具体的な当てはめ方
  • 譲り受けた動物をどの区分で検討すべきか

目次

第二種の届出が必要になるのはどんな場合か

動物取扱業には、営利を前提とする登録が必要な第一種動物取扱業と、非営利での取扱いを対象とする第二種動物取扱業があります。
動物取扱業全体の位置づけや第一種の7種別との関係については、動物取扱業とは?営業の種別と第一種・第二種の違いで解説していますので、あわせてご確認ください。

第二種動物取扱業の届出義務は、動物の愛護及び管理に関する法律(以下「動物愛護管理法」)第24条の2の2に定められています。

動物愛護管理法
第24条の2の2(抜粋)
飼養施設(環境省令で定めるものに限る。)を設置して動物の取扱業(動物の譲渡し、保管、貸出し、訓練、展示その他第十条第一項の政令で定める取扱いに類する取扱いとして環境省令で定めるもの(その他の取扱い)を業として行うことをいう。)を行おうとする者(第十条第一項の登録を受けるべき者及びその取り扱おうとする動物の数が環境省令で定める数に満たない者を除く。)は、第三十五条の規定に基づき同条第一項に規定する都道府県等が犬又は猫の取扱いを行う場合その他環境省令で定める場合を除き、飼養施設を設置する場所ごとに、環境省令で定めるところにより、環境省令で定める書類を添えて、次の事項を都道府県知事に届け出なければならない。

この規定を整理すると、届出の要否は次の4つの判定で決まります。

判定満たさない場合出典
①動物の取扱いを業として(反復継続して)行っているか届出は不要動物愛護管理法
営利を目的としないで行っているか第一種動物取扱業の登録を検討環境省の解釈
飼養施設を設置しているか届出は不要動物愛護管理法
④取り扱う動物の数が頭数基準以上か届出は不要動物愛護管理法施行規則

①③④は条文上の要件ですが、②「営利を目的としない」は、動物愛護管理法の条文そのものに登場する文言ではありません。
条文は、第10条第1項の登録(第一種動物取扱業の登録)を受けるべき者を第二種の届出義務から除くという構造を採っています。
環境省は、解釈としてこの第一種動物取扱業の登録を受けるべき者=営利目的の事業者という整理をしており、実際の動物取扱業の事務を取り扱う自治体もその解釈に倣っています。

なお、国や地方公共団体、警察等の一部の公務員が動物の取扱いを行う場合は、上記の判定にかかわらず届出が不要となる適用除外があります。

第二種動物取扱業の種別(5区分)

第二種動物取扱業の種別は、譲渡し・保管・貸出し・訓練・展示の5区分です(動物愛護管理法第24条の2の2第3号)。

区分内容
譲渡し動物を譲り渡す
保管動物を預かる
貸出し動物を貸し出す
訓練動物を訓練する
展示動物を見せる、ふれあいの機会を提供する

条文では、「譲渡し・保管・貸出し・訓練・展示」の5区分に加えて、「その他の取扱い」という区分を環境省令に委任する形で定めています。
条文上は6区分目が存在しうる形になっていますが、この委任を受けた環境省令は、本記事執筆時点で定められていません。
そのため、実務上の対象は列挙された5区分にとどまります。
条文の文言だけを見て「その他の取扱いも対象になる」と読むと実態と異なりますので、注意が必要です。

4つの要件(業として・非営利・飼養施設・頭数基準)

第二種動物取扱業の届出が必要になるのは、次の4つの要件をいずれも満たす場合です。

  • 業として動物の取扱いを行っていること
  • 非営利で行っていること
  • 飼養施設を設置していること
  • 取り扱う動物の数が頭数基準以上であること

①「業として」と②「非営利」は、まとめて1つの要件として扱われがちですが、判断の性質が異なる別個の要件です。
①「業として」は、一般的には営利性の有無反復継続性を踏まえて総合的に判断されるものと解されています。
第一種動物取扱業の定義(第10条第1項)でも同じく「業として行うこと」という要件が使われており、第一種・第二種を問わず動物取扱業に共通する考え方です。

一方、②「非営利」は、営利性の有無についての判断であり、前述のとおり条文の文言ではなく環境省の解釈です。
営利性の有無については、一般的には有償・無償とは区別されます。
たとえば、実費として少額の金銭等を受け取る場合は、いわゆる実費弁済として「金銭の授受があっても営利性はない」とみなされることがあります。

①・②のいずれも、個別の事案がこれに該当するかどうかの最終的な判断は、事業の規模・頻度など具体的な事情によって分かれます。
この記事で一律に線引きすることは難しいため、判断に迷う場合は、事業を開始する前に管轄行政庁へご確認いただくことをおすすめします。

④の頭数基準がどのような数値か、自分の飼養数にどう当てはめるかについては、後述の「頭数基準への当てはめ方」で詳しく解説します。

「飼養施設を設置して」

条文は、「飼養施設を設置して」行う場合を第二種動物取扱業の対象としています。
そのため、飼養施設を設置せずに動物の取扱いを行う場合は、そもそも第二種動物取扱業の届出対象にならない可能性があります。
飼養施設とは、一般的には、人の居住の用に供する部分と区分できる飼養施設を設けているものが該当します。
住居内に専用の部屋や飼養スペースを設けている場合を含みます。
設置する施設が飼養施設に該当するかどうか迷う場合は、事前に管轄行政庁へご確認いただくことをおすすめします。


営利性の判断:第一種との境界

環境省の解釈では、第一種動物取扱業を「営利目的で業として」動物の取扱いを行う者、第二種動物取扱業を「営利を目的とせず」「非営利で業として」動物の取扱いを行う者、と整理しています。
この整理が、第一種と第二種を分ける実質的な境界線になります。

もっとも、「営利」「非営利」の判断は、単純に有償か無償かだけでは説明しきれません。
金銭の授受があったとしても実費弁済としての性質を持つ場合には非営利と判断される可能性があることは説明したとおりです。

一方で、たとえばとあるテーマパーク内に動物の展示施設があったとします。
展示施設の利用自体は無償だったとしても、その展示施設があることによってテーマパーク全体の収益に影響があるような場合には、営利目的だと判断されることもあります。

このように、「営利」「非営利」の該当性は、有償・無償という表面的な区別だけでなく、事業の実態を踏まえて総合的に判断される事柄です。
個別の事案でどちらに当たるかの最終的な判断は、管轄行政庁の運用や具体的な事情によって異なりますので、判断に迷う場合は事前にご確認いただくことをおすすめします。
営利目的と判断される場合は、

で解説している第一種動物取扱業の7種別のうち、該当する種別の登録を検討することになります。


頭数基準への当てはめ方

第二種動物取扱業の届出が必要になる頭数基準は、動物の愛護及び管理に関する法律施行規則(以下「施行規則」)第10条の5第2項に定められています。
動物の種類と大きさの区分に応じて、次のとおり定められています。

 区分頭数根拠
大型動物(哺乳類・鳥類)+特定動物の合計3以上施行規則第10条の5第2項第1号
中型動物(哺乳類・鳥類・爬虫類)の合計10以上同項第2号
①・②以外の哺乳類・鳥類・爬虫類の合計50以上同項第3号
①・②の合計10以上同項第4号
①・②・③の合計50以上同項第5号

上記の基準に当てはめたときに、各区分に応じた頭数以上の飼養を行うことが、第二種動物取扱業の届出要件となります。

大型動物・中型動物・小型動物といった分類については、哺乳類・鳥類・爬虫類ごとに環境省による例が示されています。

種類分類主な対象動物
哺乳類大型(頭胴長おおよそ1m以上)ウシ、シカ、ウマ、ロバ、イノシシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ等
中型(頭胴長おおよそ50cm~1m)イヌ、ネコ、タヌキ、キツネ、ウサギ等
小型(頭胴長おおよそ50cm以下)ネズミ、リス等
鳥類大型(全長おおよそ1m以上)ダチョウ、ツル、クジャク、フラミンゴ、大型猛禽類等
中型(全長おおよそ50cm~1m)アヒル、ニワトリ、ガチョウ、キジ等
小型(全長おおよそ50cm以下)ハト、インコ、オシドリ等
爬虫類大型分類なし
中型(全長おおよそ50cm以上)ヘビ(全長おおよそ1m以上)、イグアナ、ウミガメ等
小型(全長おおよそ50cm以下)ヘビ(全長おおよそ1m以下)、ヤモリ等

大きさは成体における標準的なサイズから判断することになります。
大型、中型といった分類は施行規則で規定されている内容ですが、具体的な50cm等のサイズの目安については、環境省が解釈として例示しているものです。

なお、国・地方公共団体の職員が業務として行う場合など、一定の場合には第二種動物取扱業の届出が不要となる適用除外もあります(施行規則第10条の5第3項)。


譲り受けた動物をどう扱うかで、当てはまる区分の考え方が変わる

第一種動物取扱業には、元の飼い主が費用負担し、事業者が動物を譲り受けて飼養する「譲受飼養」という種別があります。
これに対して、第二種動物取扱業の5区分(譲渡し・保管・貸出し・訓練・展示)には、「譲受飼養」に直接対応する区分はありません。

非営利で動物を譲り受ける場合は、譲り受けた後の目的から遡って、どの区分で検討すべきかを考えることになります。

譲り受けた後の目的検討する区分
再び譲渡することを目的とする譲渡し
自ら飼養し続けることを目的とする保管
見せる・ふれあいを提供することを目的とする展示

再び譲渡することを目的とする場合

譲渡会などを開催し、譲り受けた動物を、新しい飼い主に再び譲り渡すことを目的とする場合は、「譲渡し」の区分で届出をすることが考えられます。

自ら飼養し続けることを目的とする場合

譲り受けた動物を、自ら継続して終生飼養することを目的とする場合は、「保管」の区分で届出をすることが考えられます。

見せる・ふれあいを提供することを目的とする場合

譲り受けた動物について、見せることやふれあいの機会を提供することを目的とする場合は、「展示」の区分で届出をすることが考えられます。

複数区分にまたがる場合

1つの取扱いの様態が複数の区分の要素を持つこともあります。
たとえば、譲り受けた動物を一時的に保管した後で譲渡するような場合です。
このようなケースでは、区分ごとに届出が必要になる可能性があります。
どの区分に当てはまるか、複数の届出が必要かどうかの判断は個別の実態によるため、判断に迷う場合は管轄行政庁へ事前にご確認いただくことをおすすめします。


まとめ

第二種動物取扱業の届出が必要かどうかは、①業として、②非営利で、③飼養施設を設置して、④頭数基準以上の動物を取り扱っているか、という4つの要件で判断します。
②を満たさない(営利性がある)場合は、第一種動物取扱業の登録を検討することになります。
また、譲り受けた動物については、その後どう扱うかという目的から遡って、当てはまる区分を検討する必要があります。
届出の要否や区分の判断が難しいと感じる場合は、事業を始める前に管轄行政庁へご相談ください。

第二種動物取扱業の届出が必要なケース まとめ

  • 届出の要否は①業として②非営利③飼養施設④頭数基準の4要件で判断する
  • ①「業として」と②「非営利」は別個の要件で、判断の性質が異なる
  • 譲り受けた動物は、譲り受けた後の目的から検討する区分を遡って考える
  • 判断に迷う場合は、事業開始前に管轄行政庁への確認がおすすめ

第二種動物取扱業の届出でお困りのことはございませんか?

「非営利での活動が第二種動物取扱業に当たるのか分からない」「頭数基準に該当するか判断がつかない」というご相談をいただくことがあります。
第二種動物取扱業の該当性は、管轄行政庁の運用や個別の事情によって判断が分かれる場面があります。

行政書士TLA観光法務では、管轄行政庁への照会、事前相談への同行・代理、複数自治体の運用差の調査、届出書類の作成・提出代理まで対応しております。
判断に迷われた段階でのご相談も歓迎しておりますので、下記お問い合わせフォームよりお気軽にご相談くださいませ。
あなたからのご連絡をお待ちしております。

第二種動物取扱業の届出に関するご相談料金

対応内容報酬額(税込)備考
第二種動物取扱業の相談初回無料初回30分まで

なお、第二種動物取扱業の該当性の取扱いは、管轄行政庁の運用や個別具体的なご事情によって異なる場合があります。
最終的な判断にあたっては、管轄行政庁にご相談くださいませ。

※本記事は2026年8月時点の情報に基づいて執筆しています。
法令や行政庁の運用は改正される場合がありますので、最新の情報については管轄行政庁にご確認ください。

お名前(ふりがな)
必須
メールアドレス
必須
電話番号
必須
お問い合わせ詳細
必須
予期しない問題が発生しました。 後でもう一度やり直すか、他の方法で管理者に連絡してください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次