2018年の旅行業法改正によって、ランドオペレーター(ツアーオペレーター)業を営むためには事前に、都道府県に対して登録をしなければならない、ということになりました。
今回は、このランドオペレーターになるためにはどうしたらいいの?という皆様の疑問にお答えするために、その手続きについて細かく解説をしていきます!
ランドオペレーターって何?という方は、まずこちらをご覧ください。
https://yachida-office.info/ryokougyou/landoperator/#i-2
なお、TLAではランドオペレーターの登録手続代行も手掛けておりますので、お困りの際はぜひ一度ご連絡ください。
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ランドオペレーターに必要な条件
ランドオペレーターは、法律上は旅行サービス手配業と定義されています。
ですので、以下、ランドオペレーター業のことは旅行サービス手配業として統一して記載をしていきます。
さて、旅行サービス手配業の登録をするためには、「人」に関する条件をクリアする必要があります。
具体的には、これから説明する資格者の配置と、登録拒否事由(旅行サービス手配業を営むにあたってふさわしくないこと)に該当していないことが必要です。
1.旅行サービス手配業務取扱管理者
旅行サービス手配業務を行う営業所に、最低1人以上の「旅行サービス手配業務取扱管理者」を配置しなければなりません。
これは「総合/国内旅行業務取扱管理者」という資格試験に合格した方で代替することも可能です。
もしこのような資格者がいない場合には「旅行サービス手配業務取扱管理者研修」を受講して修了証を受け取ることで、資格者配置の条件を満たすことができます。
この研修は、旅行業協会の他、民間機関(登録研修機関といいます。)でも実施しておりますので、詳細はそちらをご参照ください。
https://www.tc-college.jp/course/travelarrangement/
2.登録拒否事由に該当しないこと
登録をしようとしている個人や、会社の役員が下記事項に該当していないことが必要です。
①過去に旅行業や旅行サービス手配業の登録を取消されて、5年を経過していない(登録を取消された会社の役員だった人も含む)
②禁錮以上の刑罰、または旅行業法違反で罰金刑を受けて、5年を経過していない
③暴力団員
④申請前5年以内に、旅行業務や旅行サービス手配業務について不正な行為をした
⑤暴力団員等がその事業活動を支配している
⑥申請者(会社の場合はその役員)が未成年で、その法定代理人が①~④、⑧に該当している
⑦心身の故障により業務を適正に行うことができないor破産手続開始の決定を受けていて、制限された権利を取り戻していない
⑧会社の役員の中で①~④、⑦に該当している人がいる
⑨営業所ごとに、旅行サービス手配業務取扱管理者を確実に配置する見込みがない
これらに1つでも該当してしまうと、旅行サービス手配業の登録は受けられないことになります。
旅行サービス手配業の登録をするための4つのステップ
ここから、旅行サービス手配業登録に向けた解説をしていきます。
まず初めに今回の説明をする上での前提条件を設定して、その後4つのステップに切り分けて解説をしていきます。
少し長いので、理解するのが面倒だという方はぜひTLAにご相談くださいませ。
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0.今回の前提条件
今回、旅行サービス手配業の登録について解説をしていくにあたっては、次のような前提条件を設定いたします。
申請形態:法人(株式会社)
主たる営業所を置く地域:東京都内
管理者:1名(旅行サービス手配業務取扱管理者研修を受けた人)
営業所:賃貸物件
なので今回は、東京都知事の登録を受けるための流れについて解説をしていきますが、必要に応じて他の都道府県との違いが発生するところにも言及をしていきます。
1.事務所を確保する
東京都で申請を出す場合、営業所として登録する事務所についての書類を提出する必要があります。
自社所有物件の場合は、建物の登記簿謄本を提出します。
賃貸物件の場合は、賃貸借契約書を提出します。
賃貸借契約書で多い事例として、新しく会社を立ち上げた際に、いったん代表者の個人名義で契約書を作成しているパターンです。
この場合、東京都では賃借人の名義が代表者の個人名義のままだと受け付けてもらえないので、会社の名義で再作成をするか、代表者個人から会社に対してさらに賃貸借契約を結び(いわゆる転貸)、かつ、物件のオーナーから転貸に関しての承諾書を貰う必要があります。
また、賃貸借契約の場合、その利用用途が「事務所」となっている必要があります。
よくあるパターンとして、一般市民の方も入居しているような居住用のアパートを事務所として契約した場合で、利用用途が「住居」となっている場合があります。
この場合も、事務所として利用することが保証されていないという趣旨で、東京都では受け付けてもらえません。
ですので、賃貸借契約書の利用用途は特に注意しましょう。
ちなみに、事務所に関するこのような登記簿謄本や賃貸借契約書の提出が求められる都道府県はそう多くありません。
ご自身の申請を予定されている都道府県で提出書類の一覧を確認して、このような事務所に関する書類が必要かどうかは確認されてください。
2.管理者を探すor自分で研修を受ける
この管理者も避けては通れません。
会社の代表者が旅行業務取扱管理者の資格(ただし、地域限定はダメ)を持っているのが理想ですが、旅行業界とは無縁で、これから参入したいんだ、という方には、前にもご説明をした研修を受講されることをオススメいたします。
2日間受講しなければならないですが、比較的ハードルは低いです。
管理者は業務を行う営業所にそれぞれ最低1人必要で、複数営業所がある場合、同一人物が複数営業所で兼任することは認められていません。
また、営業所に所属する旅行サービス手配業に携わる従業員が10人以上の場合には、管理者は2人以上必要です。
3.書類を作成する
さて、ここまできていよいよ書類作成です。
東京都に旅行サービス手配業の申請を出す場合、下記の書類が最低でも必要になります。
①申請書
②会社の定款
③会社の登記簿謄本
④会社の役員全員分の宣誓書
⑤事業計画書
⑥組織概要図
⑦旅行サービス手配業務取扱管理者選任一覧表
⑦-①旅行業務取扱管理者の合格証または旅行サービス手配業務取扱管理者研修の修了証
⑦-②旅行サービス手配業務取扱管理者の履歴書
⑦-③旅行サービス手配業務取扱管理者の宣誓書
⑧営業所の使用権を証明する書類(登記簿謄本や賃貸借契約書)
⑨事故処理体制の説明図
1つずつ解説していきます。
1.申請書
まず、申請書は東京都のウェブサイトからダウンロード可能です。
申請書は、申請書の表紙を1枚、登録簿を3枚作成して提出します。
東京都が他の都府県と違うところは、必ず電話番号とFAX番号を記入させるところです。
申請書も専用の記入スペースがあり、記載が必要です。
電話番号は携帯電話は不可ですが、IP電話は可となっています。
その他会社名や本店所在地、代表者名等の記入事項は登記簿謄本通りに記載していきます。
申請書に捺印する印鑑は、会社が法務局に登録している実印で捺印をします。
2.会社の定款
会社の定款が、創業当時から一度も変わっていない場合は、設立時の定款を提出します。
株式会社の場合は、公証役場で定款を認証してもらい、公証人による認証ページ(電子認証の場合は統一情報の提供)がくっついてきますので、全てのページをコピーして提出します。
もし、創業当時の定款(原始定款)から変更がある場合は、
①原始定款+定款変更の株主総会議事録
②変更が反映された現在の定款の最終ページに原本証明
のどちらかで対応が必要です。
原本証明とは、「この定款は当社の現在の定款と相違ない」旨を明記して、日付、会社名、代表者名を記入の上、会社の実印を捺印することをいいます。
3.会社の登記簿謄本
登記簿謄本は「履歴事項全部証明書」を取得し、原本を提出します。
発行後3か月以内のものが必要です。
「登記情報提供サービス」て取得できる登記情報は、公印(謄本が真正な書類であることを証明する印鑑)が押されておらず、使用できませんのでご注意ください。
4.役員全員分の宣誓書
これは、登録拒否事由に該当していないことを誓約する書類です。
書式は東京都のウェブサイトをご参照ください。
株式会社の役員には取締役だけでなく監査役も含まれますので、ご注意ください。
その他、執行役と会計参与も役員としてカウントされます。
宣誓書は、氏名の部分は必ず手書きのサインでなければなりません。
印鑑等の捺印は不要です。
5.事業計画書
事業計画書も、書式が用意されています。
事業計画書の3枚目に提携業者を記載する表がありますが、ここには予定事項を記入すれば問題ありません。
旅行業の更新時とは違い、提携していることを証明するために契約書を提出する必要もありません。
6.組織概要図
組織概要図も、書式が準備されています。
旅行サービス手配業部門以外の部門が存在する場合も、記載はしておきましょう。
ポイントは、旅行サービス手配業部門の責任者が誰で、従事者が何人いて、管理者が誰なのかがハッキリと分かるように記載することです。
なお、自社で既に作成している組織図があれば、それで代替することも可能です。
7.旅行サービス手配業務取扱管理者に関する書類
まず、管理者の選任一覧表には、業務を行う営業でそれぞれ選任した管理者の情報を記載していきます。
生年月日や氏名、合格証等の番号は、合格証を参考にしながら記載ミスが無いようにしましょう。
住所については、この後出てくる管理者の履歴書&宣誓書上の住所と表記を合わせておきましょう。
履歴書については、市販のものを使っても構わないですが、こちらも東京都で書式を準備しているのでそちらを使用すればよいでしょう。
氏名は必ず手書きによるサインで、写真の貼付は不要です。
複数営業所を設置する会社の場合は、どの営業所に配属されているのかが分かるように記載しておくと、審査がスムーズに進みます。
管理者は正社員雇用でなくても契約社員や出向、あるいは雇用予定でも大丈夫ですが、雇用予定場合には、管理者の同意書が必要です。
また、出向の場合は、出向契約書と管理者の同意書が必要です。
さらに、管理者についても役員と同じように宣誓書を提出します。
もし役員が管理者を兼ねるような場合には、役員として1枚提出すればOKです
8.営業所の使用権を証明する書類
これについては先に説明した通りです。
賃貸借契約書か、登記簿謄本が必要です。
登記簿謄本を提出する場合は、きちんと所有者の名義が、申請者の名義と一致しているかどうか、確認をしてください。
賃貸借契約書の注意点は先に述べたとおりです。
9.事故処理体制の説明図
本書類についても書式は用意されています。
総括責任者、渉外担当責任者、旅客家族担当責任者の3つの役職を定める必要があります。
1人が3役を兼務しても構いませんし、3つとも別人が担当しても問題ないです。
ただ、どれか1つには、旅行サービス手配業務取扱管理者を選ぶ必要があります。
また、平日の連絡先には営業所の電話番号とFAX番号を、休日の連絡先には個人の携帯電話番号を記載します。
10.その他
1~9までは、一般的に必要とされている書類です。
あとは、それぞれのケースごとでさらに追加で書類を求められることもあります。
全ての書類を網羅するのは難しいので、今回は最低限必要になる書類の解説をいたしました。
個別の事例については、各都道府県の窓口でご確認ください。
有償にはなりますが、TLAでもご相談対応はさせていただいております。
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4.書類を提出する
さて、書類が一通りそろったら、ようやく書類の提出です。
東京都への申請については、事前予約制です。
毎週月水金のみを申請受付日としており、事前に予約を入れて申請に行きます。
また、東京都は申請時に旅行サービス手配業務取扱管理者の同行が必須となっております。
書類提出時に書類の簡単な内容の確認と、事業計画部分についての簡単なヒアリング、雑談があります。
ですので、事業運営についてきちんと把握していらっしゃる方も同席した方が良いでしょう。
その場で提出書類に問題が無ければ、受付となり、審査に回されます。
標準的な審査期間は30~40日ほどです。
審査が終わり、その後
審査が終わり、無事に登録されることとなった後、東京都から登録決定の通知がFAXで送られてきます。
登録決定の通知には、登録通知を渡すのでいついつ来てね、という内容が記載されております。
指定された日に、登録手数料の1万5000円(現金)をもって、登録通知を受領します。
旅行業と違い保証金の供託などもありませんので、登録通知を受け取った後、営業を始めることが可能です。
最後に
さて、旅行サービス手配業の登録手続について解説をいたしましたが、いかがでしたでしょうか。
自分で何とかできそうだと感じた方もいらっしゃれば、自分にはちょっと難しそうだな、そう思われた方もいらっしゃると思います。
もちろんご自身で手続きをされる方もたくさんいらっしゃいます。
自分ではやらずに、ご依頼いただくお客様もいらっしゃいます。
旅行サービス手配業は、営業開始後にも守らなければならないルールがございますので、営業開始後のことまで見てほしい、そんなご要望がございましたら、ぜひ一度TLAにご相談いただければ幸いです。
ご参考までに、TLAで旅行サービス手配業の登録手続きをお手伝いさせていただく場合の参考報酬をお伝えしておきます。
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