時事問題

緊急事態宣言を理解するー新型インフルエンザ等特別措置法緊急解説

2020年4月6日時点、いよいよ緊急事態宣言を出す方向で政府が調整に入りました。
日本国内では、戦後誰も体験したことの無いものになる訳ですが、言葉だけが独り歩きしていて、実際に緊急事態宣言が出るとどうなるのか、よくわからない方もいらっしゃると思います。
そんな方のために、今一度緊急事態宣言が出ると何が起きるのか、そうまとめをしたいと思います。

ポイントを絞った説明については、こちらの記事もご参照ください。

緊急事態宣言や都市封鎖(ロックダウン)で何が起こるのか-今知っておくべきこと現在世界中で猛威を振るい、人々を不安に陥れている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。 その脅威は日本でも例外ではありません。...

また、ポイントを解説した動画もぜひご覧ください。

前提知識、定義

まず、非常事態宣言について細かいお話をする前に、前提知識や定義をまとめていきます。
今後読み進めていくうちに、よくわからない用語が出てきたら、ここに立ち返るとよいです。

新型インフルエンザ等特別措置法

非常事態宣言を出す際の根拠になっている法律のことです。
本文では、「特措法」という略称を使います。
「特措法○○条」「特措法施行令○○条」のような使い方をします。
※特措法施行令:特措法の内容をさらに細かく決める、政令のこと。

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

特措法の運用をする上で欠かせない、感染症に関する法律です。
本文では、「感染症法」という略称を使います。
使い方は、特措法と同じです。

指定行政機関

特措法施行令第1条で定められている、国の中枢にかかわるような機関のことです。
例えば、国家公安委員会、警察庁、消防庁、外務省、財務省、厚生労働省、防衛相といった各省庁が指定されています。

指定地方行政機関

特措法施行令第2条で定められている、指定行政機関の地方支分局や地方行政機関のことです。
例えば、税関、地方出入国在留管理局、財務局、地方整備局、地方運輸局が指定されています。

指定公共機関

特措法施行令第3条の定めと内閣総理大臣が指定して公示する、公共的機関や公共的事業を営む法人(会社)のことです。
例えば、日本医師会、JR各社、東京電力等の電力各社、武田薬品、NTTドコモといった企業等が指定されています。
医療・医薬品・医療機器、電力、水道、ガス、運輸(旅客・貨物)、電気通信、郵便といった、最低限のライフラインを担っている団体や企業で規模の大きいところが指定されていると思ってください。

指定地方公共機関

各都道府県の区域で公益的な役割を担っている団体や法人のうち、指定公共機関以外のもので、事前に法人の意見を聴いて、都道府県知事が指定するもののことです。

新型インフルエンザ等

感染症法上の新型インフルエンザや新感染症のことです。
新型コロナウイルスについても、2020年3月14日から、特措法改正によって、新型インフルエンザ等に含まれることになりました。

政府対策本部

新型インフルエンザ等が発生した際に、厚生労働大臣から内閣総理大臣が報告を受けて、臨時で設置される新型インフルエンザ等対策本部のことです。
一般的には、内閣総理大臣がそのまま政府対策本部長に就任します。

新型インフルエンザ等対策

政府対策本部が設置されてから廃止されるまでの間、国、地方公共団体、指定公共機関、指定地方公共機関が特措法や感染症法等の法律に基づいて実施する措置のことです。

新型インフルエンザ等緊急事態

新型インフルエンザ等が国内で発生して、その全国的かつ急速なまん延によって国民生活や国民経済に甚大な影響を及ぼし、あるいはそのおそれがあるものとして特措法施行令で定める要件に該当する事態のことです。

新型インフルエンザ等緊急事態宣言

政府対策本部長が行う、新型インフルエンザ等緊急事態が発生した旨、新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施すべき期間、措置を実施すべき区域、陣型インフルエンザ等緊急事態の概要の公示のことです。
一般的に「緊急事態宣言」と言われているものはこれです。
本記事でも、緊急事態宣言として記載をします。

新型インフルエンザ等緊急事態措置

緊急事態宣言がされたときから解除されるまでの間、国、地方公共団体、指定公共機関、指定地方公共機関が特措法に基づいて実施する措置のことです。

特定都道府県

緊急事態宣言で指定された区域を含んでいる都道府県のことです。

特定物資

緊急事態措置の実施に必要な物資であって、生産、集荷、販売、配給、保管又は輸送を業とするものが取り扱うもののことを言います。
緊急事態措置の実施に必要な物資については、特措法施行令で具体的な定めがあります。

行動計画と業務計画

政府、都道府県知事、市町村長、指定公共機関、指定地方公共機関は新型インフルエンザ等の発生に備えて、事前に計画を作成する必要があります。

まず、政府が政府行動計画を作成します(特措法6条)。
都道府県知事は、政府行動計画を基に、都道府県行動計画を作成します(特措法7条)。
市町村長は、都道府県行動計画を基に市町村行動計画を作成します(特措法8条)。
指定公共機関は政府行動計画、指定地方公共機関は都道府県行動計画を基にそれぞれの業務計画を作成します(特措法9条)。

政府行動計画と、指定公共機関であるJR東日本の政府行動計画と業務計画のリンクを貼っておきます。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/keikaku.html

https://www.jreast.co.jp/company/pdf/influenza_gyoumukeikaku.pdf

新型インフルエンザ等の発生

厚生労働大臣は、国内で新型インフルエンザ等が発生したと認められ、その旨を公表する場合は、内閣総理大臣に必要な情報の報告をすることになっています(特措法14条)。
そして、内閣総理大臣がその報告を受け取った時、新型インフルエンザ等の症状が一般のインフルエンザと同程度以上であれば、政府対策本部を設置します。
政府対策本部を設置する際、総理大臣は対策本部の
①名称
②設置場所
③設置期間
を国会に報告し、公示しなければなりません(特措法15条)。
公示は、新型コロナウイルスについての対策本部の公示は、下記を参照ください。

https://www.cas.go.jp/jp/influenza/houteihonbu_konkyo.pdf

1.基本的対処方針

政府対策本部が設置されると、対策本部は、政府行動計画に基づいて新型インフルエンザ等への基本的な対処の方針を定めます(特措法18条)。
これを基本対処方針と言います。

https://www.cas.go.jp/jp/influenza/kihon_h.pdf

2.都道府県対策本部の設置

政府対策本部が設置されたとき、都道府県知事は都道府県行動計画で定めるところにより都道府県対策本部を設置しなければなりません(特措法22条)。
この対策本部には、都道府県知事が本部長として就任することになっています(特措法23条)。

3.臨時の予防接種

政府対策本部長は、厚生労働大臣に対して、新型インフルエンザ等対策の実施に携わる公務員や、医療従事者・インフラ事業者のような公益性の高い業務を行う事業者で、厚生労働大臣の登録を受けているものの従業員が臨時で予防接種を受けることを支持することができるとしています(特措法28条)。

4.検疫を行うべき港・飛行場の指定と宿泊施設等の検疫利用

厚生労働大臣は、諸外国で新型インフルエンザ等が発生した場合に、発生国でのまん延状況や日本の検疫体制等の事情を総合判断して、検疫を適切に行うために必要があるときは、発生国を経由する船舶・航空機について検疫を行う検疫港(特定検疫港という。)を指定することができます。

また、特定検疫港の検疫所長は、停留するための施設が不足する場合には、特定検疫港からの距離等を考慮して、厚生労働大臣が指定する区域内に存在する病院等を停留するための施設として使用することができます(特措法29条)。
この場合、通常生ずべき損失については国及び都道府県は損失補償をしなければならないことになっています(特措法62条)。

緊急事態宣言の発出

政府対策本部長は、新型インフルエンザ等が国内で発生し、新型インフルエンザ等緊急事態が発生したと認めるときは、緊急事態宣言をし、その旨を国会に報告するものとしています(特措法32条)。
緊急事態宣言をする際には、
①新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施すべき期間
②新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施すべき区域
③新型インフルエンザ等緊急事態の概要
を公示して、やはり国会に報告する必要があります。

①の期間は2年を超えてはならず、必要がある場合のみ、1年間延長することができます。政府対策本部長は、緊急事態宣言後、事態が収束したときには速やかに、緊急事態解除宣言をして、国会に報告をしなければなりません。

1.市町村対策本部の設置

緊急事態宣言が出されたときは、市町村長は、市町村行動計画で定めるところにより、直ちに、市町村対策本部をを設置しなければなりません(特措法34条)。
そして、市町村長が対策本部長に就任します(特措法35条)。

2.特定都道府県知事による代行

緊急事態宣言の対象地域の区域内にある市町村(特定市町村)の長(特定市町村長)は、その全部or大部分の事務を行うことができなくなったと認めるときは、特定都道府県知事に対して、緊急事態措置の全部or一部の実施を要請することができます。

緊急事態宣言が出ると発生する義務

緊急事態宣言が出ることにより、行政、事業者、国民に対して様々な権利や義務が発生します。
ここでは、①誰が②何をできるか(権利)③どんな制約を受けるか(義務)について意識しながら読んでいただければと思います。

1.感染症のまん延の防止に関する措置

外出の自粛要請

特定都道府県知事は、特定都道県の住民に対して、特定都道府県知事が定める期間及び区域で、生活の維持に必要な場合を除いて、居宅やこれに相当する場所から外出しないことを要請することができます(特措法45条1項)。

いわゆる、外出自粛要請です。
感染症の市中感染を防ぐために、外出は必要最低限度にしてほしいという内容の条文です。
この要請は、法律上の義務ということになりますので、自粛要請に従わない場合、法律違反ということになります。
ただし、違反に対する罰則はありません。

多数のものが利用する施設の使用やイベント開催の自粛要請

特定都道府県知事は、特定都道府県知事が定める期間で、学校、福祉施設、興行場その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者(施設管理者等に対して、これらの施設の使用の制限/停止又は催物の開催の制限/停止その他政令で定める措置を講ずるように要請することができる、とあります(特措法45条2項)。

政令で定める施設については、特措法施行令11条に記載されています。
それによると、以下の施設で施設使用やイベント開催の自粛要請を受けることになります。

①学校
②保育所、介護老人保健施設、これらに類する通所or短期間の入所により利用される福祉サービス又は保健医療サービスを提供する施設(通所or短期間の入所の用に供する部分に限る)
③学校教育法上の大学、専修学校、各種学校
④劇場、観覧場、映画館、演芸場
⑤集会場、公会堂
⑥展示場
⑦百貨店やマーケット等の物品販売業を営む店舗(食品や医薬品等の生活に欠くことができない物品として厚生労働大臣が定めるものは除く)
⑧ホテルor旅館(集会の用に供する部分に限る)
⑨体育館、水泳場、ボーリング場その他これらに類する運動施設や遊技場
⑩博物館、美術館、図書館
⑪キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホールその他これらに類する遊興施設
⑫理髪店、質屋、貸衣装やその他これらに類するサービス業を営む店舗
⑬自動車教習所、学習塾その他これらに類する学習支援授業を営む施設
⑭③~⑬の建築物の延床面積が1000㎡を超えない者で、特に要請を行う必要があるものとして厚生労働大臣が定めて公示するもの
※③~⑬は延床面積が1000㎡を超えるものが対象となります

これらの施設使用やイベント開催の自粛要請についても、法律上の義務なので、従わないと法律違反です。
ただ、外出自粛と同じように罰則はありません。

なお、要請に従わない場合は、特定都道府県知事は、さらに施設管理者等に対して「指示」を出すことができます。
こちらも罰則はありませんが、特定都道府県知事は「要請」と「指示」をしたときにはその旨を公表する義務があるので、「指示をした」ということが公表されると、それは「要請に従わなかった」ということになりますので、罰則のあり/なしとは関係なしに、社会的にそのような施設に対してどういった視線が注がれることになるのか、という経営判断は必要になります。

住民に対する予防接種

特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、必要があると認めるときは臨時の予防接種の対象者と期間を定めることになっています(特措法48条1項)。
実際の予防接種の事務は、市町村が行うことになります(特措法48条3項)。
予防接種にかかる費用の一部は国庫負担となります(特措法69条2項)。

2.医療等の提供体制の確保に関する措置

医療等の確保

病院やその他の医療機関、医薬品等の製造販売業者、製造業者、販売業者である指定公共機関や指定地方公共機関は、それぞれの業務計画で定めるところにより、医療、医薬品、医療機器、再生医療等製品の製造、販売を確保するため必要な措置を講じなければならない、とあります(特措法47条)。

これは、感染症が拡大するフェーズになったとしても医療や医薬品等をきちんと供給し続けることができるように対策を練っておきなさいという趣旨のものです。
例えば、武田薬品工業は指定公共機関になっており、業務計画書を下記のように定めております。

https://www.takeda.com/siteassets/ja-jp/home/who-we-are/disclosure/influenza/policies_201502_jp.pdf

臨時の医療施設開設のための土地等の使用

まず、特定都道府県知事は、区域内で医療機関が不足して、医療の提供に支障が出てくると認めるときには、臨時の医療施設を開設して、医療を提供しなければならないと決められています(特措法48条)。
そして、この臨時の医療施設については、消防法、建築基準法、医療法といった各種法律の規制を一定程度免除するとしています。

また、特定都道府県知事は、臨時の医療施設を開設するために、土地、家屋、物資を使用する必要があるときは、これら土地等の所有者や占有者の同意を得てこれらの土地等を使用することができます(特措法49条1項)。
もし所有者等が正当な理由もなく同意をしない時や、あるいは所有者等の所在が不明で同意を得ることができないときは、同意を得なくても土地等を使用できるとしています(特措法49条2項)。

この49条の規定に関しては、かなり強力な都道府県知事の権限となっています。
なぜならば、特定都道府県知事はこれらの土地等を使用する際に立入検査をすることができ、所有者等がこの検査を拒んだり妨害すると罰金刑になります(特措法77条)。
ですので、罰則付きで強制力が見込まれる措置になっています。

なお、49条に規定に基づいて処分が行われた場合には、通常生ずべき損失については国及び都道府県は損失補償をしなければならないことになっています(特措法62条)。

3.国民生活や国民経済の安定に関する措置

物資・資材の供給要請

特定都道府県知事/特定市町村長は、緊急事態措置を講じるために、その備蓄する物資や資材が不足するときは、特定都道府県知事は指定行政機関/指定地方行政機関の長に対して、特定市町村長は特定都道府県知事に対して、それぞれ必要な物資や資材の供給について必要な措置を講じるように要請することができます(特措法50条)。

電気、ガス、水の安定的な供給

電気事業者、ガス事業者である指定公共機関、指定地方公共機関は、事前に業務計画を定めて、電機やガスを安定的かつ適切に供給するため必要な措置を講じなければならない、とあります(特措法52条1項)。
ライフラインである電気やガスが止まらないように配慮をした規定です。

参考までに、東京ガスの業務計画書類です。

https://www.tokyo-gas.co.jp/anzen/pdf/influ.pdf

また、水道事業者、水道用水供給事業者、工業用水道事業者である地方公共団体、指定地方公共機関は、都道府県や市町村行動計画、あるいは業務計画によって水を安定的かつ適切に供給するため必要な措置を講じなければならない、とあります(特措法52条2項)。
こちらも、水道は生活や経済にとって欠かせないものであるため、安定喝適切に供給するように、となっています。

運送、通信、郵便等の確保

まず、運送事業者である指定公共機関/指定地方公共機関は、業務計画を定めて、旅客/貨物の運送を適切に実施するため必要な措置を講じなければならない、とあります(特措法53条1項)。
特措法の趣旨は「感染症の拡大防止」ではありますが、一方でライフラインの維持をするために一定の「旅客/貨物の運送を適切に実施」する必要も出てきます。
この辺りは、輸送機関各社の業務計画にゆだねられることになります。
例えば、首都圏の鉄道の一斉運休等は現実的には難しく、例えば減便措置や運行時間の繰り上げや繰り下げ、一部路線の運休といった程度にとどまるのではないかと思います。

次に電気通信事業者である指定公共機関/指定地方公共機関は、業務計画で定めるところによって、通信を確保し緊急事態措置の実施に必要な通信を優先的に取り扱うため必要な措置を講じなければならない、とありあす(特措法53条2項)。
電気通信事業は、いわゆる通信回線や電波を利用している事業者だと思ってください。
例えば携帯電話各社や、NTTグループのような事業者です。
参考までに、NTTグループの業務計画書類を共有いたします。

https://www.ntt.co.jp/saitai/pdf/NTTinfulenza_taisaku.pdf

そして最後に、郵便事業を営む者/一般信書便事業者である指定公共機関/指定地方公共機関は、業務計画に定めるところにより、郵便や信書便を確保するため必要な措置を講じなければならない、とあります(特措法53条3項)。
この規定も、郵便についても特にストップすることは無いということを表しています。

緊急物資の運送

指定行政機関の長/指定地方行政機関の長は、運送事業者である指定公共機関に緊急物資の運送を要請することができます。
また、同様に医薬品等販売業者である指定公共機関に対しても、医薬品等の配送を要請することができます。
特定都道府県知事は、指定公共機関だけでなく指定地方公共機関に対しても、これらの要請をすることができます(特措法54条)。

特定物資の売渡の要請

特定物資の詳細については、特措法施行令14条に定めがあります。

①医薬品
②食品
③医療機器その他衛生用品
④再生医療等製品
⑤燃料
⑥その他内閣総理大臣が定めて公示するもの

特定都道府県知事は、特定物資について、所有者に対して、この特定物資の売渡を要請することができるようになります(特措法55条1項)。
その他、所有者が売渡の要請に従わない場合は物資の収容をすることができますし、特定物資の生産・集荷・販売・配給・保管・輸送を業として行う者に対してこの物資の保管を命令することができます(同2項、3項)。

収容や保管のための立入検査に従わず、拒んだり妨害するような場合には罰金刑が科せられます(特措法77条)。
または、保管の命令に従わずに特定物資を隠したりすると、懲役刑か罰金刑がかせられることになります(特措法76条)。

なお、55条2項から4項の規定に基づいて処分が行われた場合には、通常生ずべき損失については国及び都道府県は損失補償をしなければならないことになっています(特措法62条)。

埋葬、火葬の特例

墓地、埋葬に関する法律では、亡くなった方の火葬・埋葬をするためには事前に市町村長の許可を受けて、火葬許可証や埋葬許可証を受け取った後でなければ、お墓に埋葬することができないと定めています。

これを、特措法の56条では、
厚生労働大臣は、厚生労働大臣の定める期間に限り、墓地、埋葬等に関する法律に規定する手続きの特例を定めることができる、としています。
例えば、上記の事前の市町村長の許可や、火葬許可証・埋葬許可証がなくても火葬や埋葬、納骨ができるというと呉があるということになります。

雑感:緊急事態宣言が出された後の世界

1.まずは落ち着くべき

人は誰しもが経験したことの無い事象を目の前にすると不安や恐怖を感じるものです。
不安や恐怖というものは、その正体が分からないからこそ怖いのであって、であればまずは目の前の事象がどういった正体なのかを分析するところから始める必要があります。

私は、緊急事態宣言という、戦後の日本で日本人が誰も体験したことの無い事象を、法律という側面から分析をしました。
日本の行政はあくまでも「法律による行政」を原則としており、行政の判断には何らかの法律上の根拠を必要としています。
今回の緊急事態宣言も、新型インフルエンザ等特別措置法という法律を根拠に動いています。
緊急遺体宣言はこの特措法に基づいて行われる以上、宣言によって発生する事象は法律を根拠にしています。

法律を読み解くと、様々な義務が発生することになります。
外出の自粛要請や施設利用、イベント開催の自粛要請。
はたまた臨時の医療施設を開設するための土地等の使用についてや、特定物資の売渡。

外出や施設利用、イベント開催の自粛要請は、法律上の義務です。
法律上の義務ですが、罰則はありません。
そう、今色んな政治家の方が一生懸命叫んでいる、週末は外出しないでください、というお願いと効果は全く同じです。
何が違うかと言えば、行政の方々のお願いに法律上の根拠ができる、ということです。
それ以上でもそれ以下でもありません。

2.緊急事態宣言は地域を指定される

緊急事態宣言は、既にみてきたように、宣言されるときに地域が指定される。
日本全国同時に宣言が出されるということは、まれだと思います。
だから、慌てない。

自分たちの地域は非常事態宣言が出てないから関係ない
とか
緊急事態宣言が自分たちの住んでいるエリアに出されそうだから、その前に別の地域へ移行
とか
そういう行動や思考は最終的に社会全体に不利益を与えることになります。
特に、感染症は目に見えないウイルスとの戦いです。
逃げた先にウイルスがないことは保証できないし、そもそも移動する前から自分がすでに感染をしているかもしれない。
緊急事態宣言が出されていないからと言ってそのエリアにウイルスが存在していないことを証明したわけでもないし、やはり既に自分は感染しているかもしれない。

目に見えないからこそ、どこか他人事のようになってしまうのだけれども、主体性をもって考えるということが、いま求められているように思う。

人間は飽きっぽくて我慢のできない生物だから、きっと1か月はおろか1週間でさえ、じっとしている、自粛し続けているというのはつらいと思う。
ただ、想像してみたいと思う。
何となく、感染しても、病院に入院できれば最終的には何とかなる、そんな考えがどこかに潜んではいないだろうか?
後でも述べるが、果たして自分が感染したときに、適切に医療を受けることができるのか、実はいま当たり前だと思っていたことが崩壊しかかっているのだ。

であれば、やはりここは少しでも我慢をして、自分と周りの命を守る行動をしたい。

3.インフラは止まらない、食品も無くならない

緊急事態宣言なんていう大層な名前の宣言が行われるので、もしかしたら電気やガスや水道が止まったり、食品が売り切れたりしてしまうんだろうか。
そう思ってしまう方もいらっしゃるとは思います。

ですが、答えはノーです。
本文中に触れていますが、電気、ガス、水、電気通信、郵便については安定的かつ適切なサービス供給や、確保をする義務が事業者に課されています。
旅客や貨物の輸送に限って言えば「適切に実施するため必要な措置」という少し言葉を濁した書き方になっていますが、輸送事業者の業務計画を見る限り、輸送機関が全く動かなくなってしまうということはまずなさそうです。

そして食品や医薬品のような生活必需品については、施設利用等の自粛の例外事項となっています。

特措法施行令第11条
⑦百貨店やマーケット等の物品販売業を営む店舗(食品や医薬品等の生活に欠くことができない物品として厚生労働大臣が定めるものは除く)

つまり、食品等の生活必需品販売店は通常営業をするし、その店に陳列される商品も輸送事業は停止しないので、適切に納品され続ける。
日常生活を送るために必要な物資は、これまで通り供給され続けるのです。

だから、急いで買い出しに行くのはやめましょう
必要な分だけ、必要な時に買いましょう。

4.医療提供体制の崩壊を懸念している

特措法を始めとした感染症関係の法律は、まず第一に感染症の拡大防止を目的としています。
一方で、隠れた目的として、感染症を治療する医療の提供体制が崩壊してしまうことを防区という目的も含まれています。

なので、特措法には医療従事者向けの予防接種の規定がありますし、医療施設か足りなくなりそうな場合には、都道府県知事に強い権限を与えて、新しい医療施設を開設するために第三者の土地や建物を、場合によっては同意を得ずに使用することができる、そして新しい医療施設には消防法や建築基準法といった通常であれば医療施設に求められる高度な建築的規制を除外しているのです。

医療が崩壊すれば、助けられるはずの命も助けられなくなり、いわゆる命の選別が始まります。
選別される方が苦しいのは当たり前ですが、選別する方も地獄のような苦しみの中でその判断をしなければならないのです。

そう、そんな苦しみを医療従事者の方々にさせないためにも、我々は今自分たちにできる最大の感染防止策を取っていくべきなのです。

家にいよう。

番外編:ロックダウンについて

ロックダウンとは、日本語でいえば都市封鎖のことですが、一般的には外出や移動することを禁止して、人の動きを制限することで感染症の拡大防止を目的とする措置のことです。
諸外国では外出や移動の制限に罰則がついていることも多く、実行力のある措置になっています。

日本でも、同じようにロックダウンをすることが可能なのでしょうか。

応えは、限りなくノーと言えるでしょう。
まず、特措法では外出自粛要請や施設利用、イベント開催の自粛要請はできますが、これは罰則が無いため、そこまで強い強制力を持っていません。
また、輸送機関等に対して、輸送を止めるような命令を出すこともできません。
なので、特措法の規定では非常に緩やかな自粛体制を取ることしかできません。

一方で、感染症法の32条に、建物の立入制限や禁止、封鎖をすることができるとなっています。
また、感染症法の33条では、72時間以内の期間を定めて、感染症患者がいる場所等の病原体に汚染された場所の交通を制限、遮断することができるとなっています。
どちらもロックダウンのために有効そうに思えますが、いずれの規定に関しても、大前提としてはエボラ出血熱やペストのような強毒性の感染症ウイルスを想定しています。
そのようなウイルスに汚染された場所を部分的に封鎖して、消毒をするための措置だと思えばよいので、これを新型コロナウイルス感染症にそのまま使用できるかというと、それは少し疑問が残るところです。

ですので、現状、日本では諸外国のような罰則付きのロックダウンを行うことは難しく、個人個人の意識に委ねられた、緩やかな自粛措置しか行われない、言う認識をもつことが大切です。

そうはいっても、先ほども述べていますが、医療体制の崩壊を防ぐためにも、我々は強い意志をもって自分と周りの命を守る行動を取るべきです。

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ヤチダ マサヤ
ヤチダ マサヤ
観光の力で日本を元気に、をモットーに活動している観光系行政書士です。現在は、旅行会社様、宿泊事業者様、そして外国人雇用を目指す事業者様の経営支援を中心に活動しています。正しくお金を稼いで、世の中に還元したいと考えています。趣味は、オーケストラでの演奏活動。【取扱業務】旅行業登録手続/旅館業許可申請/住宅宿泊事業届出/就労ビザ(在留資格)申請手続/酒販免許申請/その他の営業許可取得はご相談ください

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