時事問題

緊急事態宣言や都市封鎖(ロックダウン)で何が起こるのか-今知っておくべきこと

現在世界中で猛威を振るい、人々を不安に陥れている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。
その脅威は日本でも例外ではありません。
特に首都東京では感染者数が増えており、ニュース等では「緊急事態宣言」や「都市封鎖(ロックダウン)」を行うのでは、といった声も聞かれ始めてきております。

緊急事態宣言が出されたりするとどうなってしまうのか、不安に思っていらっしゃる方も多いでしょう。
この記事では、少しでもその不安を解消できればと思い、緊急事態宣言が出されるとどうなるのか、といったことについて、法律をかみ砕きながら解説していきます。

この記事を書こうと思った動機

今、世の中にはいろんな情報があふれています。
そして、その中には人々の不安を煽るために発信されたような情報や、不確からしい根拠不明の情報も多く含まれています。
日々そのような情報が垂れ流されている現状を見て、1次情報に基づいた、なるべく正しい情報をお伝えすべきだと思って、この記事を書いています。

特に、今騒がれている緊急事態宣言や都市封鎖(ロックダウン)については、メディア等で流されている情報も必ずしも正しいとは言えない状況です。
日本政府を始めとした日本の行政は、法律に基づいて様々な施策や行動を決定していきます。
緊急事態宣言についても、明確に法的な根拠があります。
行政としてできること、できないことがあるのです。
ですので、まずは正しい知識を身に付けて、これから行政が実施しようとしていることについて対策を練っていただきたいと思います。

緊急事態宣言とは

一般的にニュース等で言われている緊急事態宣言を理解するためには、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」と「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」という2つの法律を理解する必要があります。

どちらの法律名も長いので、この記事内では
新型インフルエンザ等対策特別措置法のことを「特措法
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律のことを「感染症法
と呼んでいくことにします。

まず、特措法の第32条第1項には、下記のように書かれています。

第32条(新型インフルエンザ等緊急事態宣言等)
政府対策本部長は、新型インフルエンザ等※1(略)が国内で発生し、その全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるものとして政令で定める要件に該当する事態※2(以下「新型インフルエンザ等緊急事態」という。)が発生したと認めるときは、(略)「新型インフルエンザ等緊急事態宣言」(略)をし、並びにその旨及び当該事項を国会に報告するものとする。

政府対策本部長は内閣総理大臣が担当することになっています(法第16条第1項)。
「新型インフルエンザ等※1」と「政令で定める要件に該当する事態※2」の定義についてはそれぞれ、新型インフルエンザ等対策特別措置法施行令の第6条第1項と第2項に記載が有ります。

新型インフルエンザ等とは、当該インフルエンザ等に罹患した場合の、肺炎や多臓器不全、脳症等重篤である症例の発生頻度が、通常の季節性インフルエンザに罹患した場合に比べて相当程度高いと認められるものです。

※2の新型インフルエンザ等緊急事態の要件については、

特措法施行令第6条第2項(一部省略)
一 感染症法第15条第1項又は第2項の規定による質問又は調査の結果、新型インフルエンザ等感染症、疑似症患者若しくは無症状病原体保有者、新感染症の所見がある者、新型インフルエンザ等にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者又は新型インフルエンザ等により死亡したものが新型インフルエンザ等に感染し、又は感染した恐れがある経路が特定できない場合

二 前号に掲げる倍のほか、感染症法第15条第1項又は第2項の規定による質問又は調査の結果、同号に規定する者が新型インフルエンザ等を公衆にまん延させるおそれがある行動をとっていた場合その他の新型インフルエンザ等の感染が拡大していると疑うに足りる正当な理由のある場合

長々としていてわかりにくいと思います。
特措法の32条に立ち返って整理をすると、
内閣総理大臣は、

季節性インフルエンザよりも重篤化する新型インフルエンザが発生して、
その新型インフルエンザが拡大して経路を追うことができなくなったときに、

緊急事態宣言を出すことができます。

そして、緊急事態宣言を出す時には、
①措置の期間
②措置の区域
③措置の概要
を公にする必要があります。

緊急事態宣言が出ると、どうなるのか?

緊急事態宣言で定められた区域の市町村が含まれている都道府県のことを、特定都道府県と呼びます(特措法第38条第1項)。
特定都道府県の知事は、緊急事態宣言が出されると、一定の行為をすること/しないことをお願いできるようになります。
具体的には、下記のとおりです。

  1. 特定都道府県の住民に対して、特定都道府県知事が定める期間・区域において、住民の居宅から外出しないことを要請することができる(特措法第45条第1項)。
  2. 特定都道府県知事が定める期間において、多数の者が利用する施設のを管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者に対して、施設の使用を制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止を要請することができる(特措法第45条第2項)。
  3. 臨時の医療施設を開設するために、土地や家屋、物資を使用する必要があるとき、特定都道府県知事はこれらの土地等の所有者及び占有者の同意を得てこれらの土地等を使用することができる。所有者が正当な理由なく同意しない場合は、臨時施設の解説のために特に必要がある場合に限って、同意を得ないで土地等を使用することができる(特措法第49条)。

 

一般市民である我々に影響が出てくる可能性があるのは、上記のとおりです。

つまり、緊急事態宣言が出されると、私たちは都道府県知事から、
外出の自粛やイベント開催の自粛、場合によっては土地や建物の提供をお願いされることがあるのです。

要請に協力しないと、どうなってしまうのか?

ここまでで、緊急事態宣言とは何ぞやということと、緊急事態宣言が出されると何が起きるのかについて説明をしてきました。
その内容は、外出の自粛やイベント開催の自粛要請、土地建物使用のお願いでした。
それでは、これらのお願いに従わなかったとしたら、どうなってしまうのでしょうか?

まず、これらすべてのお願いについて、法律で定められた義務ということになります。
ですので、これらの要請に従わないことは、法律違反ということになります。

ただ、ここで少し落ち着いてほしいのが、法律違反=処罰される、という訳ではないということです。
どういうことか。

特措法では、法律違反に対する罰則の規定が、大きく分けると2つ存在します。

第76条
第55条第3項の規定による特定都道府県知事の命令又は同条第4項の規定による指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長の命令に従わず、特定物資を隠匿し、損壊し、廃棄し、又は搬出したものは、六月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

第77条
第72条第1項若しくは第2項の規定による立ち入り検査を拒み、妨げ、もしくは忌避し、又は同行の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者は、30万円以下の罰金に処する。

まず結論から説明をすると、
①居宅からの外出自粛要請と、②イベント等の開催自粛要請
については、罰則規定はありません。

一方で、土地使用のために事前に行われる立入検査については、拒否するようなことがあると罰金刑となります。
罰則条文の77条の中に、「72条」という条文が出てきますが、この「72条」で「49条の規定で土地等を使う際に必要があれば立入検査していいよ」という風に定められているのです。

一方で、自粛要請の根拠になっている特措法45条については、仮に自粛要請に従わなかったとしても、処罰する規定は存在しません
外出自粛に関しては、「生活の維持に必要な場合を除き」というおまけつきです。
生活の維持に必要な場合であれば、外出していいのです。
だから、当然、日用品や食品を購入することもできます。
特措法上、緊急事態宣言が出されても、食品や医薬品等の生活必需品を販売する店舗は営業し続けます(営業停止命令は出せない)。

なお、建物の使用制限やイベント開催の制限についての自粛については、特措法上、特定都道府県知事は要請を出して、要請に従わない場合再度自粛するように「指示」を出すことができます。
この使用制限とイベント開催制限の「要請」「指示」については、特定都道府県知事の公表義務があるので、
「○○について要請をした」「その後○○について指示をした」
ということが公にされます。
「指示をした」ということは、要請に従わなかった、ということになりますので、法律上罰則がある/ないとは別に、要請に従わないことで、世間一般からどのような視線で見られるようになるのか、という別の視点で考える必要はあるかと思います。

いずれにせよ、これらの自粛要請は法律上の義務はあれども、罰則はないというものになっています。

緊急事態宣言で、ライフラインや運送機関は止まってしまう?

1.特措法を見てみると

この分野についても、興味があるかと思います。
まずは、特措法上どうなっているかについてですが、緊急事態宣言が出たとしても、行政は交通機関を止めたり、何らかの営業停止をさせる権限は一切ありません。

それどころか、緊急事態宣言に備えて、適切に電気水道ガスや旅客運送、貨物運送、郵便等の事業を実施するための事業計画を作っておきなさい、としています。
つまり、電気もガスも水道も止まらないし、電車も止まらなければ郵便だって止まらない、ネットショッピングをすればきちんと荷物は配送されてきます。

つまり、世間一般で言われているような都市封鎖(ロックダウン)は日本ではできないのです。
もちろん一部のバスや鉄道は自主的に運行本数を間引いたり運休したりするかもしれません。
店舗も、人員状況によっては営業しないかもしれません。
しかし、行政による強権で人の動きを止めて、封鎖をする、ということは制度上は出来ないのです。

ですので、まずは落ち着くことが必要です。
多くの食料や物資は適宜供給されますので、不要な分量まで日用品を買い占めにお店に駆け込む必要はありません。
いつも通りの生活で使用する分を購入すればよいのです。

2.感染症法では、実は….

ここまで、特措法上は都市封鎖(ロックダウン)はできないと書いてきました。
ただ、実は感染症法上はロックダウンに近いことができる余地が残されています。

どういうことか。

感染症法の2つの条文を続けて見ていきます。

第32条(建物に係る措置)
都道府県知事は、一類感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある建物について、当該感染症のまん延を防止するため必要があると認める場合であって、消毒により難いときは、厚生労働省令で定めるところにより、期間を定めて、当該建物への立入りを制限し、又は禁止することができる。

第33条(交通の制限又は遮断)
都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するための緊急の必要があると認める場合であって、消毒により難いときは、政令で定める基準に従い、72時間以内の期間を定めて、当該感染症の患者がいる場所その他当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある場所の交通を制限し、又は遮断することができる。

どちらも、一類感染症の時には、建物への立入りや交通を制限できるとしています。
一類感染症というのは、エボラ出血熱やペストのような、毒性の強い感染症を対象としています。

新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令の一部を改正する政令(令和2年3月26日政令第60号)において、この条文の一類感染症を新型コロナウイルス感染症と読み替える改正が行われました。
つまり、この一類感染症の中に新型コロナウイルス感染症も含まれるようになったということです。
ですので、可能性としては、感染症法による建物への立入り制限や、移動制限が行われる余地は残っています。

現実問題としては、とっても難しい

ここまで、特措法と感染症法を見ながら、緊急事態宣言の概要と都市封鎖(ロックダウン)について解説をしてきました。

まず、誤解なきようにお伝えしたいのですが、法律上罰則が無いとはいえ、やはりきちんと自粛要請には従うべきだと、私は考えております。
感染症は災害と違って目に見えにくい、見えないものです。
いつの間にかウイルスの保有者となっていても、それに気付かずに周囲に移してしまう。
常にそういった可能性を持っているという認識を持つべきです。
そのうえで、人に移すリスクを下げる対策を取って、必要なときにだけ必要なところへ行けば良いのです。
みんながみんな、日用品を買いに殺到したら何の意味もないですよね?

移してしまった自分の大切な人が、重症化しないとは限りません。
それは、誰にも保証できるものではないのです。
統計的に多くの人が無症状あるいは軽症であったとしても、100%ではないのです。
自粛することで一人でも多くの人の命が助かるのであれば、やはりきちんとそうすべきです。

一方で、経済活動も重要です。
特に、自ら事業を営んでいるような人であれば、事業を止めることそのものが、明日生活できるのかどうかということに直結しかねません。
だから、ハイそうですかと、自粛することは難しいのかもしれません。

自粛することで一定の補償が行われるのであれば、考える余地だってあるかもしれません。
今日明日を生きるために自粛しないのか、それとも感染させるリスクを背負わないために自粛するのか、それは、残念ながら今の日本の制度上は、自己決定するしかない状況です。

ただ、自粛する人も自粛しない人もきちんと前提となる法律の知識は持っておくべきです。
一人一人が正しい知識を持つことで、世の中の多くの出来事は理解できるようになると、信じています。
なかなか先を見通すことができない難しい世の中ですが、今は自分たちができることを必死で自分の頭を使って考えて、自分で正しい情報をつかんで、やれることをやっていくしかないと思っています。

最後に

記事をまとめると

・大切な人を守るために、自粛要請は受け入れるべき
・自粛要請に従わなかったとしても罰則はない
・建物の立入り規制や交通規制はあり得る
・電気、ガス、水道、配送、運輸といったライフラインは止まらない
・都市封鎖、緊急事態宣言が出されても慌てない

なお、もしこの記事を読んでいらっしゃる方の中に、フリーランスの方や中小零細企業の社長様がいらっしゃれば、資金繰りのご相談も受け付けております。
政府から様々な融資メニューが提供されているので、まずは一度ご相談いただくことをオススメいたします。
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ヤチダ マサヤ
ヤチダ マサヤ
観光の力で日本を元気に、をモットーに活動している観光系行政書士です。現在は、旅行会社様、宿泊事業者様、そして外国人雇用を目指す事業者様の経営支援を中心に活動しています。正しくお金を稼いで、世の中に還元したいと考えています。趣味は、オーケストラでの演奏活動。【取扱業務】旅行業登録手続/旅館業許可申請/住宅宿泊事業届出/就労ビザ(在留資格)申請手続/酒販免許申請/その他の営業許可取得はご相談ください

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